米国の糖尿病への取り組み

米国医療保険制度治療靴法案(Medicare Therapeutic Shoe Bill):

1993年米国連邦議会は深底靴、カスタム成型靴と多重構造足底挿坂(Multi-density Insert)もしくは靴の修正などを
医療保険制度パートBの資格がある糖尿病患者に対して一部の還付を提供する医療保険制度制定法を改正しました。

疾病管理予報センター(The Centers for Disease Control and Prevention)によると、糖尿病に罹っている人々が毎年米国のすべての下肢切断の60%あるいは約86000件の切断を占めているようです。
糖尿病に伴うすべての下肢切断は、正しい下肢装具の装用と適切な履物で回避または予防可能であると大多数の
専門家が同意しているとペドーシックフットケア協会は述べています。

医療保険の受給資格:

受益者が下記の基準の場合、医療保険での糖尿病用の深底靴、足底挿板の作製と修正が可能です。
 1) 糖尿病患者(ICD-10-CM Diagnosis Code E11.9)
 2) 以下の条件の一つ以上を有する場合;
     ①以前どちらかの足部の一部の切断
     ②以前どちらかの足部の潰瘍化の病歴
     ③どちらかの足部に潰瘍性胼胝の病歴
     ④どちらかの足部に胼胝形成の形跡のある末梢性神経障害
     ⑤どちらかの足部の変形
     ⑥どちらかの足部の血行障害
 3) 糖尿病患者の全身の症状を管理する認定医は、患者に1)と2)の兆候があり、包括的な目標のもとに治療を
    おこなう場合認定が可能です。
    認定医(医師、足病医、骨病医)は上記の条件が満たされていることを医療保険への報告書に記載し署名、
    供給者へオーダーをだします。供給者とは深底靴の作製や修正、足底挿板を提供する個人または団体で足病医、
    ペドーシスト、装具士、義肢士またはその他の有資格者。供給者は業務に対して医療保険に請求をだします。

1年間に受益者は下記のうち許可された装具金額の80%がカバーされます。
米国では糖尿病性足病疾患には予防目的での装具として保険適用の定義が確立されています。
 * 深底靴(A5500) 1足と多層構造足底挿板(5512またはA5513)3足分
 * カスタム成型靴(5501)1足(足底挿板1足分を含む)と追加の多構造足底挿板(5512またはA5513)2足分
 * 修正を加えたカスタム成型靴または深底靴1足と追加の多層構造足底挿板(5512またはA5513)2足分
      
  医療保険請求番号(HCPCS Code)の説明
   A5500 : 糖尿病患者にのみ処方 多層構造の足底挿板が収まるように製造された既成の深底靴
   A5501 : 糖尿病患者にのみ処方 患者の足型から作製されたオーダーメイドの足底挿板も含むオーダーメイドの靴
   A5512 : 糖尿病患者にのみ処方 複合的な密度の足底挿板で、華氏230度またはそれ以上で加熱し成型した
         足部全接触型。 立てアーチ(土踏まず)を含みショア*A35度の硬さで1/4インチ厚素材またはショア*A40度で
         3/16インチ厚素材で製造されたもの。
   A5513 : 糖尿病患者にのみ処方 患者の足から足型を作製してカスタムメイドされた複合的な密度の足底挿板。
         立てアーチ(土踏まず)を含みショア*A35度のまたはそれ以上の圧縮弾性硬度で3/16インチ厚素材が主
材層で
         
アーチ充填物や他の成型素材を含むもの。
         *)ショア=Shore a Durometer
                ゴムやソフトプラスチック等の圧縮弾性硬度の単位、数値が高いほど硬度が増す。

糖尿病用治療靴
糖尿病用治療靴(HCPCS A5500 Code)とは:

        
   
深底靴は足底挿板を挿入可能にするために通常より5mm以上の深さがなければいけません。
    糖尿病足部疾患治療靴として政府の承認機関への事前認可が必要です。
    承認機関= CMS(Centre for Medicare & Medicaid Services)

   必要条件:
     HCPCS Code A5500(既成の深底靴)
     ① 同じ足長サイズで3つ以上のWidth(幅)が用意されていてハーフサイズも揃っていなければいけません。
       つま先の内張に縫い目があってはいけません。
     ② カスタムメイドの足底装具(足底挿板)を挿入可能にするために通常靴より最低5mm以上の深さの余裕が
       なければいけません。
     ③ 革もしくは同等の素材で作られていなければいけません。
     ④ 幾つかの締め方(紐の編み上げ、マジックテープなど)が選択できなければいけません。
     HCPCS Code A5501(オーダーメイド靴)
     ① 患者の足型から作製しなければいけません。
     ② 革もしくは同等の素材で作られていなければいけません。
     ③ 患者の症状の正当な理由で作り替えたり取り替えたりできる取り外し可能な足底挿板がはいっていなければ
       いけません。
     ④ 幾つかの締め方(紐の編み上げ、マジックテープなど)が選択できなければいけません。

   日本では障害者や疾病に対する治療目的で使用する装具の名称は「靴型装具(整形靴、特殊靴など)」と
   「足底装具(足底挿板、室内用の履物)」の名称で処方され使用されていますが、米国ほど靴の定義が詳細に
   確立されてはいません。

足底挿板(全接触型多層構造コンセプト)=Total Contact Multidensity Concept):

   

   
米国では糖尿病足病変の患者に対しては『多層構造』の素材を使用することが処方として定められています。
   

室内用足底装具:

    

    
足にリスクのある糖尿病患者はカスタムメイドの足底挿板が挿入できる室内履きを装用しなければいけません。

糖尿病足病変に対する足装具の基本的目的
 ● 足ずれの軽減-水平面の動きにより胼胝などが形成されるのを防止します。
 ● 衝撃の軽減-垂直方向の圧力により胼胝や鶏眼などが形成されるのを防止します。
 ● 知覚過敏もしくは疼痛領域からの移動を目的とします。
 ● 変形の対する適応、安定、支持を目的とします。
 ● 関節可動域を制限することにより炎症や疼痛を軽減し安全面や機能面を向上させることです。